1976年、ジョン・ギレルミン監督。ジェフ・ブリッジス、チャールズ・グローディン、ジェシカ・ラング主演。1933年のオリジナル版「キングコング」をディノ・デ・ラウレンティスが現代(石油危機時代)に置き換えてリメイクした怪獣映画の傑作。コングがエンパイア・ステート・ビルではなくワールドトレード・センター(旧WTC)の上に立つラストが今も語り継がれる。

ジェシカ・ランゲの映画デビュー作。特殊メイクのリック・ベイカーがコングを演じた。アカデミー賞視覚効果賞受賞。IMDb6.0点・全世界興行収入9000万ドル。

映画基本情報

タイトル:キングコング(King Kong)
公開年:1976年
監督:ジョン・ギレルミン
脚本:ロレンツォ・センプル・ジュニア
音楽:ジョン・バリー
出演:ジェフ・ブリッジス(ジャック・プレスコット)、チャールズ・グローディン(フレッド・ウィルソン)、ジェシカ・ランゲ(ドウォン)
特殊メイク:リック・ベイカー(コング役も担当)
上映時間:134分
製作:パラマウント・ピクチャーズ
全世界興行収入:9000万ドル
アカデミー賞:視覚効果賞受賞

あらすじ

石油会社ペトロックスの重役フレッド・ウィルソン(チャールズ・グローディン)は、インド洋に浮かぶ謎の霧の島に巨大な油田があると信じて探索船を送り込む。船には霊長類学者ジャック・プレスコット(ジェフ・ブリッジス)が密航しており、やがて漂流中の女性ドウォン(ジェシカ・ランゲ)も救助される。

島に上陸すると、現地の部族が「神」として崇める巨大なゴリラ——コングが存在することを知る。コングはドウォンに惹かれ、彼女を連れ去る。ジャックはドウォンを救出しようとするが、ウィルソンはコングを「石油会社のマスコット」としてニューヨークに連れ帰る計画を実行に移す。

ニューヨークでの展示中、コングは拘束を断ち切り解放される。そして当時完成したばかりのワールドトレード・センターへと向かう。ドウォンを守ろうとするコングを、軍のヘリコプターが容赦なく攻撃する。美と野蛮と文明の衝突が悲劇的な結末を迎える。

心に残る名言集

名言①「コングを奪ったとき、俺たちは神を誘拐したんだ」

“When we took Kong, we kidnapped their god.”
― ジャック・プレスコット(ジェフ・ブリッジス)

IMDb・Quotes.net確認済み。島の住民にとってコングとは何者だったかを語るジャックの言葉。コングを「怪物」ではなく「神」として捉え直す視点は、本作が単なる怪獣映画を超えた「文明批評」であることを示す。現代社会が自然を搾取することへの静かな告発。

名言②「コングは彼女の命を救うために命をかけた——あれは獣ではない」

“That’s not true. He risked his life to save me.”
― ドウォン(ジェシカ・ランゲ)

IMDb確認済み。コングを「獣」「レイプしようとした」と言い放つウィルソンに向かってドウォンが反論する台詞。巨大なゴリラと女性の間に生まれた純粋な感情を、映画で最も端的に語る言葉。ランゲのデビュー作ながら、このシーンの説得力は際立つ。

名言③「コースト・トゥ・コースト・ツアー、美女と野獣——これはグロテスクな茶番だ!」

“Coast to coast tours, beauty and the beast, that’s a grotesque farce!”
― ジャック・プレスコット(ジェフ・ブリッジス)

IMDb確認済み。コングをショービジネスに使おうとするウィルソンの計画をジャックが批判する台詞。利益のために自然と文明の驚異を見世物にしようとする人間の傲慢さへの怒り。「コスト・トゥ・コースト・ツアー」という皮肉が本作のテーマを象徴している。

名言④「コングは彼女たちの生活の恐怖であり、神秘であり、魔法だった」

“He was the terror, the mystery of their lives, and the magic.”
― ジャック・プレスコット(ジェフ・ブリッジス)

IMDb・Quotes.net確認済み。島の住民がコングを失った後の未来を語るジャックの言葉。「1年後には廃れた酔っ払いだらけの島になる」と続く文脈とともに、コングという「神」の喪失が文化の崩壊を意味するという鋭い観察を含む台詞。

名言⑤「この子を下ろさないで! 離したら殺される!」

“Don’t put me down! Hold onto me or they’ll kill you!”
― ドウォン(ジェシカ・ランゲ)

IMDb・IMDbレビュー確認済み。WTCの屋上でコングが自分を守ろうとドウォンを下ろした瞬間に叫ぶ台詞。コングに対して命がけで「離すな」と訴えるドウォンの言葉は、映画全体の感情的な頂点であり、二者の間に生まれた絆を最も端的に示す。

こんな人におすすめ・必見シーン

怪獣映画・特撮映画の歴史を知りたい方、1970年代のハリウッド映画が好きな方、ジェシカ・ランゲやジェフ・ブリッジスのキャリア初期を見たい方に強くおすすめ。2001年9月11日のテロ事件以後、WTCでのラストシーンは特別な感慨を持って見られるようになった。「美女と野獣」という永遠のテーマを現代に問い直した一作。

必見シーン①:コングとドウォンの滝のシーン。コングが捕らえたドウォンを滝で「ドライヤーのように」乾かすシーン。特殊メイクのリック・ベイカーが自ら演じたコングの表情が驚くほど豊かで、ランゲとの「会話」が成立しているように見える。

必見シーン②:ニューヨーク展示のシーン。コングを「ペトロックス社のマスコット」として舞台に縛り付けるショービジネスの場面。タキシードとクラウンを着けられたコングの屈辱と怒りが、後の暴走への布石となる。

必見シーン③:WTCでのクライマックス。完成したばかりのワールドトレード・センターの上に仁王立ちするコングとドウォンの場面。ジョン・バリーの音楽とともに繰り広げられる悲劇的なラストシーンは、怪獣映画の枠を超えた感動がある。

登場人物紹介

ジャック・プレスコット(ジェフ・ブリッジス):霊長類学者にして本作の「양心」役。コングを守ろうとする唯一の人物。ブリッジスは「大人の良識派」を演じながら、コングへの共感を自然に表現した。後の「クレイジー・ハート」でアカデミー賞を受賞するブリッジスのキャリア初期の重要な一作。

ドウォン(ジェシカ・ランゲ):コングに惹かれた謎の女性。ランゲは映画デビュー作ながら、コングへの複雑な感情を繊細に演じた。批評的には当初酷評されたが、後に2度のアカデミー賞を受賞する実力派として再評価されている。

フレッド・ウィルソン(チャールズ・グローディン):利益のためにコングを利用しようとする悪役。グローディンのコミカルでありながら冷酷なヴィランの演技が映画の中で際立つ。「ベン(猫の映画)」やロバート・デ・ニーロとの「ミッドナイト・ラン」などで知られるコメディ俳優がシリアスな悪役を演じた。

作品データ・制作秘話

コングのスーツを制作し実際に着て演じたのは後にアカデミー賞を受賞する特殊メイクアーティストのリック・ベイカー。後年「メン・イン・ブラック」シリーズなどでも知られるベイカーは、本作のコングのスーツ制作を通じてキャリアを確立した。

ラストシーンに使われたのはニューヨークのワールドトレード・センター(当時完成したばかり)。2001年9月11日のテロ以後、このシーンは特別な意味を持つようになった。劇中でコングがWTCから別のタワーへ飛び移るシーンは、実際のロケとミニチュア撮影を組み合わせて実現した。

ジェシカ・ランゲは本作でスターになることが期待されたが、デビュー当初は「木の演技」と批評された。しかし「キングコング」から数年後、「トッツィー」と「フランシス」で一気に評価が急上昇し、両作でアカデミー賞にノミネート(トッツィーで助演女優賞受賞)。映画史上まれに見る「遅咲きの大逆転」を果たした。

総評・おすすめ度

おすすめ度:★★★★☆(4/5)

33年版の傑作リメイクとして批評的には賛否が分かれるが、「自然と文明の衝突」「搾取される存在への共感」というテーマは1976年版の方が鋭い。石油危機の時代に「石油を求めて神を誘拐した人間の末路」として描いた本作は、今も環境問題の文脈で語り継がれる。

WTCでのラストシーンは、2001年以降に見ると全く別の感慨を持つ。怪獣映画として楽しみながら、その奥にある社会批評を読み解くと、本作の価値がより深く見えてくる。同じ怪獣映画の系譜として、現代の「コング:スカル・アイランド」もあわせてどうぞ。

※ 名言の検証について:コトバミンに掲載している名言は、IMDb・Wikiquote・Rankerなど複数の海外データベースで原文を検証済みです。コトバミンでも以前から取り上げてきた名言については、今回改めて原文を照合・確認しています。検証プロセスの詳細はこちらをご覧ください。