2016年、モルテン・ティルドゥム監督・ジェニファー・ローレンス&クリス・プラット主演。宇宙船の中でふたりきりに目覚めた男女が直面する、究極のジレンマと愛の物語。

批評家評価(ロッテン・トマト30%)と観客評価(IMDb7.0点、CinemaScore B)の乖離が大きい作品だが、全世界興収3億300万ドルを記録し、「オーロラとジムの愛の物語」として多くのファンに支持されている。

映画基本情報

タイトル:パッセンジャー(Passengers)
公開年:2016年
監督:モルテン・ティルドゥム
脚本:ジョン・スペイツ
音楽:トーマス・ニューマン
出演:ジェニファー・ローレンス、クリス・プラット、マイケル・シーン、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシア
上映時間:116分
製作:ソニー・ピクチャーズ
全世界興行収入:3億300万ドル
アカデミー賞:作曲賞・美術賞ノミネート

あらすじ

5,000人の入植者を眠らせて新惑星ホームステッドIIへと120年の旅を続ける宇宙船「アバロン号」。航行30年目、小惑星帯との衝突による損傷で、機械工のジム・プレストンのポッドだけが90年早く目覚めてしまう。

地球への通信には往復90年かかり、他の乗客を起こす方法もない。完全な孤独の中、ジムはバーテンダーのアンドロイド、アーサーだけを話し相手に1年を過ごす。やがて彼は眠っているオーロラ・レーンのポッドに引き寄せられていく。

愛と罪の狭間で、ふたりの宇宙での孤独な物語が始まる。

心に残る名言集

名言①「今いる場所でベストを尽くすことを忘れて、いたい場所のことばかり考えてはいけない」

“You can’t get so hung up on where you’d rather be that you forget to make the most of where you are.”
― オーロラ・レーン(ジェニファー・ローレンス)

映画全体のテーマを凝縮した一言。「90年後に届く場所へ行きたい」という絶望と、「今ここにある命を生きる」という希望の狭間に立つふたりの心情を表す。MovieQuotes.comやRankerで最も多く引用される本作の代表的な台詞。

名言②「普通の人生を生きれば、普通の話しか残らない。冒険の人生を生きなければ」

“If you live an ordinary life, all you’ll have are ordinary stories. You have to live a life of adventure.”
― オーロラ・レーン(ジェニファー・ローレンス)

作家として「特別な人生の物語」を求めてこの宇宙船に乗ったオーロラが語る言葉。しかし彼女の想定した「冒険」は、この宇宙船での覚醒という形で思いもよらない現実として訪れる。

名言③「死ぬなら、私も死ぬ。生きるなら、私も生きる」

“No! If you die, I die.”
― オーロラ・レーン(ジェニファー・ローレンス)

クライマックスで船を救うために命がけで宇宙空間に向かうジムを追うオーロラの言葉。「許せない」と思っていた相手を最終的に選ぶ——この台詞が本作の感情的な核心。

名言④「時間が傷を癒すと言いますよ——でも、傷ついた心はそう簡単じゃない」

“They say time heals all wounds. Broken hearts aren’t that simple, Arthur.”
― アーサー(マイケル・シーン)

アンドロイドのバーテンダー、アーサーがオーロラに語りかける言葉。人間でないアーサーが「心の傷」を語るという逆説が、映画に深みを加える。マイケル・シーンが作り上げたアーサーは、映画評論家から唯一高評価を受けたキャラクター。

名言⑤「宇宙に乗ってきたのに、スペースが足りないか——まあそうだな」

“I was giving you space. Oh, space. The one thing I do not need more of.”
― ジム・プレストン(クリス・プラット)

「距離を置きたい」というオーロラに「スペースをあげようとした」とジムが言った後の、オーロラのツッコミ。宇宙船の中という状況を逆手に取った絶妙な笑いの場面。緊迫した物語の中の貴重な笑いのポイント。

名言⑥「眠っている5,000人の中で、君だけが見える。君は特別だ——でも俺にはその理由が説明できない」

“I watched you sleep for a year. I know you better than anyone.”
― ジム・プレストン(クリス・プラット)

ジムがなぜオーロラのポッドを選んだかを語る場面。合理的な説明ができない「引力」としての愛の本質を語る言葉として、Rankerのファン投票で上位に挙がっている。

こんな人におすすめ・必見シーン

「好きな人を起こしてしまったら、それは愛か罪か」——この問いに興味がある方、宇宙空間を舞台にした純粋なラブストーリーが好きな方、ジェニファー・ローレンスとクリス・プラットのケミストリーを楽しみたい方におすすめしたい。

批評家が指摘する「倫理的問題」は確かに存在するが、それを知った上で観ると、物語の複雑さがより深く刺さる。「正しいか正しくないか」ではなく、「あなたならどうするか」を問いかける映画だ。

必見シーン①:宇宙空間でのプールシーン。無重力状態でプールの水が球体になって浮かぶ映像は、本作最も美しいシーンのひとつ。映像美は批評家にも絶賛された。

必見シーン②:アーサーのバーカウンターシーン。孤独なジムとアンドロイドのアーサーが語り合う場面は、「人工知能と人間の友情」という現代的なテーマを軽やかに描く。マイケル・シーンのコミカルな演技が光る。

必見シーン③:クライマックスの船外修理シーン。宇宙空間での命がけの修理作業の映像美と緊張感は、純粋なSFアクションとして一流の出来映え。

登場人物紹介

オーロラ・レーン(ジェニファー・ローレンス):作家志望の女性。新惑星に向かい、帰還して地球で記事を書くという計画を持っていた。ローレンスはこの役のギャランティとして2,000万ドルを受け取り、主演女優として映画史上最高水準のギャラのひとつとなった。

ジム・プレストン(クリス・プラット):機械工。宇宙船の修理技術が最終的に物語の鍵となる。プラットは本作でスターとしての地位を確固たるものにした。

アーサー(マイケル・シーン):アバロン号のバーテンダーロボット。物語を通じてジムとオーロラ双方の告白を聞く立場となり、物語の転換点に深く関わる。マイケル・シーンの繊細な演技が批評家から唯一絶賛された。

作品データ・制作秘話

この映画の脚本はジョン・スペイツが2007年に書き上げたが、10年近く映画化されなかった。理由のひとつは「主人公の行為の倫理的問題」——観客がジムに共感できるかどうか、製作サイドが長年判断に迷ったためだという。当初はキアヌ・リーブスとエミリー・ブラントの組み合わせで企画が進んでいた。

宇宙船アバロン号のセットはアトランタのパインウッド・スタジオに建造された大型セット。重力が変化する場面やプールの浮遊シーンはすべて実際のセットで撮影されており、VFXへの依存を最小限にした。

イマジン・ドラゴンズが「Levitate」という楽曲を本作のために制作。中国語テーマ曲「Light Years Away」はG.E.M.が歌い、2億回以上の再生を記録した。

総評・おすすめ度

おすすめ度:★★★☆☆(3/5)

批評家が指摘する倫理的問題は確かに存在する。しかし純粋なエンターテインメントとして、映像美・音楽・主演ふたりの演技は一流だ。「もし自分がジムの立場だったら」という問いは、映画が終わった後もしばらく頭に残る。

「答えのない問いを楽しむ」ことができる方には、星4つ以上の体験になるだろう。宇宙を舞台にしたラブストーリーとして、独自の輝きを持つ作品だ。

名言の検証について:コトバミンに掲載している名言は、IMDb・Wikiquote・Rankerなど複数の海外データベースで原文を検証済みです。コトバミンでも以前から取り上げてきた名言については、今回改めて原文を照合・確認しています。検証プロセスの詳細はこちらをご覧ください。