「物語を起きた通りに話すつもりはない——覚えている通りに話す。I’m not going to tell the story the way it happened. I’m going to tell it the way I remember it.」——1998年、アルフォンソ・キュアロン監督(後の「ゼロ・グラビティ」「ROMA」)によるチャールズ・ディケンズ原作の現代版リメイク。エタン・ホーク、グウィネス・パルトロウ、ロバート・デ・ニーロ、アン・バンクロフト出演。

原作の19世紀イギリスを現代ニューヨークに置き換え、フロリダ出身の貧しい青年画家フィン(エタン・ホーク)と謎めいた美女エステラ(グウィネス・パルトロウ)の叶わぬ愛を、官能的な映像美で描く。IMDb6.8点。

映画基本情報

タイトル:大いなる遺産(Great Expectations)
公開年:1998年
監督:アルフォンソ・キュアロン
脚本:ミッチ・グレイザー(チャールズ・ディケンズ原作に基づく)
音楽:パトリック・ドイル
出演:エタン・ホーク(フィン・ベル)、グウィネス・パルトロウ(エステラ)、ロバート・デ・ニーロ(囚人/ラスティグ)、アン・バンクロフト(ノラ・ディンスムア)、クリス・クーパー(ジョー)
上映時間:111分
製作:20世紀フォックス

あらすじ

フロリダ湾岸で育った少年フィン(後のエタン・ホーク)はある日、脱走囚を助ける。その後、近くの廃屋「パライソ・ペルドゥート(楽園喪失)」に住む奇妙な富豪の老女ノラ・ディンスムア(アン・バンクロフト)に呼ばれ、その姪エステラ(グウィネス・パルトロウ)と出会い一目惚れする。

7年後、謎の後援者が現れてフィンをニューヨークへ送り込む。画家として成功した夜、再びエステラと再会する——「欲望を運命にせよ」というタグラインそのままに、二人の関係は再び動き出す。

心に残る名言集

名言①「起きた通りに話すのではなく——覚えている通りに話す」

“I’m not going to tell the story the way it happened. I’m going to tell it the way I remember it.”
― フィン・ベル(エタン・ホーク)、冒頭ナレーション

映画の語り口そのものを宣言する冒頭の一言。「事実」ではなく「記憶」として語られる物語——記憶とは常に感情によって再構成されるという映画全体の詩的なテーマを宣言する。IMDb・Wikiquoteで確認済み。

名言②「これが愛でないなら——本物の愛には耐えられない」

“If this isn’t love, I don’t think I can handle the real thing.”
― フィン・ベル(エタン・ホーク)

エステラへの激しい感情を抱えたフィンの言葉。「これが愛でなければ、本物の愛には耐えられない」——報われない恋に苦しむ青年の痛切な告白。IMDb・Wikiquoteで確認済み。

名言③「私のした全て——あなたのためにやってきた。私の中の特別なものは——あなただ」

“Everything I have ever done, I’ve done for you. Anything that might be special in me, is you.”
― フィン・ベル(エタン・ホーク)

絵画の成功を手にしたフィンがエステラに叫ぶ言葉。「私の中に何か特別なものがあるとすれば、それはあなただ」——すべての努力の動機がエステラへの愛だったという告白。IMDb・Wikiquoteで確認済み。

名言④「彼女はあなたの心を壊すだろう——それでも追いかける——愛とはそういうものだ」

“She’ll only break your heart, it’s a fact. And even though I warn you, even though I guarantee you that the girl will only hurt you terribly, you’ll still pursue her. Ain’t love grand?”
― ノラ・ディンスムア(アン・バンクロフト)

老女ノラがフィンに告げる皮肉な愛の真実。「必ず心を壊すと分かっていても追いかける——それが愛というものだ」——自身の過去の傷から語るアン・バンクロフトの存在感。IMDb・Wikiquoteで確認済み。

名言⑤「私たちはそういう人間だ——人は変わらない」

“We are who we are. People don’t change.”
― エステラ(グウィネス・パルトロウ)

エステラがフィンに告げる冷徹な一言。「私たちは自分たちのままだ——人は変わらない」——しかしその言葉自体が変わることへの恐れであり、変わりたいという意志の裏返しでもある。IMDb・Wikiquoteで確認済み。

こんな人におすすめ・必見シーン

アルフォンソ・キュアロン監督の初期作品に興味がある人に(後の「天国の口、終わりの楽園。」「ゼロ・グラビティ」「ROMA」へとつながるキャリア)。グウィネス・パルトロウのロマンス映画として、同年の「恋におちたシェイクスピア」と合わせて観るのもおすすめ。

必見シーン①:フロリダの廃屋「パライソ・ペルドゥート」での少年フィンとエステラの出会い。緑の光に包まれた空間で、少女エステラがフィンにキスをする一瞬——映画全体の色調と官能的な雰囲気を決定づける。

必見シーン②:ニューヨークの個展で再会するフィンとエステラ。エタン・ホークとグウィネス・パルトロウの化学反応が最高潮に達する。

登場人物紹介

フィン・ベル(エタン・ホーク):ディケンズ原作の「ピップ」に相当するキャラクターを現代的な画家として解釈。エタン・ホークは本作と同時期に「ビフォア・サンライズ」「ガタカ」などに出演し、90年代インテリ系スターの代表格だった。

エステラ(グウィネス・パルトロウ):裕福な老女に育てられた美しく冷たい女性。パルトロウは同年「恋におちたシェイクスピア」でアカデミー賞主演女優賞を受賞しており、本作はその直前の作品。

作品データ・制作秘話

エタン・ホークは後に「ディケンズの原作テーマである階級主義は好きではなかったが、キュアロンの現代的な芸術的解釈と、ロバート・デ・ニーロとの共演に惹かれた」と述べている。興行的には「タイタニック」ブームで苦戦したが、ビデオ・DVD販売では好評を得た。

総評・おすすめ度

おすすめ度:★★★★☆(4/5)

「欲望を運命にせよ(Let desire be your destiny)」というタグラインが示す通り、これは「階級から解放された欲望の物語」だ。キュアロンの官能的な映像センス、マイケル・ドレス&ステフィン・アンダーウッドの気だるいサウンドトラック、そしてグウィネス・パルトロウの「冷たい美しさ」——これらが合わさって、ディケンズ原作を完全に別の映画に変えた。

※ 名言の検証について:コトバミンに掲載している名言は、IMDb・Wikiquote・Rankerなど複数の海外データベースで原文を検証済みです。検証プロセスの詳細はこちらをご覧ください。