2004年、ポール・グリーングラスが監督を引き継ぎ、手持ちカメラによる独特の映像美でボーンシリーズを新次元へ引き上げた第2作。

インドで平和な生活を送っていたボーンとマリーを、突然の出来事が打ち砕く。愛する者を失ったボーンが、組織の最深部へと踏み込んでいく。

映画基本情報

タイトル:ボーン・スプレマシー(The Bourne Supremacy)
公開年:2004年
監督:ポール・グリーングラス
音楽:ジョン・パウエル
出演:マット・デイモン、フランカ・ポテンテ、ジョアン・アレン、ブライアン・コックス、ジュリア・スタイルズ、カール・アーバン
上映時間:108分
全世界興行収入:2億8800万ドル

あらすじ

インドの小さな街で、ジェイソン・ボーンとマリーは平和な暮らしを送っていた。しかし突然現れた暗殺者の銃弾がマリーを奪う。

ボーンは怒りと悲しみを胸に、組織の追跡を逆に利用して本部へと迫る。CIA監査官パメラ・ランディが彼を追うが、やがてボーンの側に立つことになる。

ベルリンを舞台に展開する真相追跡と、モスクワでの驚愕のカーチェイス。そして物語の終わりに、ボーンが一人の少女に向かって語りかける場面が待っている。

心に残る名言集

名言①「1週間前、俺はインドで4000マイル離れた場所にいた。マリーが死ぬのを見ていた。彼らが来た——俺を狙って。でも代わりに彼女が死んだ。これで終わりにする」

“A week ago I was in India, watching Marie die. They came for me and they killed her instead. This ends now.”
― ジェイソン・ボーン(マット・デイモン)

愛する人の死を静かに語るボーンの言葉。怒りでも憎しみでもなく、冷静な決意として語られるこのモノローグは、シリーズ最も感情的な瞬間のひとつ。

名言②「間違いはしない。ランダムにも動かない。常に目的がある。常にターゲットがいる」

“It’s not a mistake. They don’t make mistakes. They don’t do random. There’s always an objective. Always a target.”
― ニッキー(ジュリア・スタイルズ)

「彼は最初の間違いを犯している」と言う同僚に対してニッキーが反論する場面。訓練されたエージェントの恐ろしさと、ボーンという存在の特別さを鮮やかに言い表した台詞。

名言③「お前がマリーを殺した。お前が彼女の車に乗り込んだ瞬間から、彼女は死んでいた」

“You killed Marie. The minute you climbed into her car. The minute you entered her life, she was dead.”
― ウォード・アボット(ブライアン・コックス)

組織の腐敗を知るアボットが、追い詰められた末に吐き出す言葉。ボーンの側に近づいた者すべてが危険にさらされるという皮肉な真実を、敵自身が認める残酷な場面。

名言④「見つけたいなら——彼女はあなたのすぐ隣に立っている」

“It’s easy. She’s standing right next to you.”
― ジェイソン・ボーン(マット・デイモン)

電話越しにパメラ・ランディに語りかけながら、実は彼女の真横からスコープで見ていたボーン。圧倒的な優位性を静かに示すこの台詞は、シリーズを象徴するシーン。

名言⑤「いつかは何かいいことを思い出す」

“Because sooner or later, you remember something good.”
― マリー(フランカ・ポテンテ)/ 回想

ボーンが過去の記憶の断片として思い出すマリーの言葉。「いつか良いことを思い出す」という希望は、ボーンが暗闇の中で唯一掴んでいる光となっている。

名言⑥「お前の本名はデヴィッド・ウェブ。1971年4月15日生まれ、ミズーリ州ニクサ出身だ」

“David Webb. That’s your real name. You were born April 15, 1971, in Nixa, Missouri.”
― パメラ・ランディ(ジョアン・アレン)

物語のクライマックス、ボーンに本当の名前と出生地を告げる場面。「ジェイソン・ボーン」というアイデンティティを探し続けた男が、自分の本名を初めて知る瞬間の重みがある。

こんな人におすすめ・必見シーン

第1作「アイデンティティー」を観た方は必ず続けて観てほしい一作。単体でも楽しめるが、マリーという存在を知っていると、本作の感情的な重みがまるで違って届く。

必見シーン①:モスクワのカーチェイス。狭い地下道を傷だらけの車で疾走するシーンは、アクション映画史上最も評価の高いカーチェイスのひとつ。ポール・グリーングラスの手持ちカメラが生み出す臨場感は圧倒的。

必見シーン②:イレーナへの謝罪。ボーンが自らが殺した人物の娘に会いに行き、謝罪を告げる場面。アクション映画でこれほど感情的なクライマックスを見せた作品は少ない。

必見シーン③:「休め、パム、疲れているように見える」。電話越しにランディに言い放つボーンの台詞は、本作最大のクールな一瞬。この台詞は第3作でも繰り返される。

登場人物紹介

パメラ・ランディ(ジョアン・アレン):CIA監査官として登場。当初ボーンを追う立場だが、やがて組織の腐敗を知り、ボーンの側に立つ。アレンのアカデミー賞受賞級の演技力が本作の品格を高めている。

ウォード・アボット(ブライアン・コックス):組織の闇を知る実力者。追い詰められて自ら吐き出す告白シーンは、本作の感情的なクライマックスのひとつ。

作品データ・制作秘話

ポール・グリーングラスが導入した手持ちカメラによる「シェイキーカム」スタイルは、本作以降のアクション映画の標準になった。「キャプテン・フィリップス」「ユナイテッド93」などグリーングラスの代表作すべてに通じる映像哲学がここで確立された。

ベルリン・ナポリ・モスクワでの実地ロケが多く、特にモスクワのカーチェイスシーンは実際の市街地で撮影が行われた。撮影許可の取得に相当の交渉を要したという。

全世界興収は2億8800万ドルと第1作を大きく上回り、シリーズとしての地位を確立した。批評家からも前作を超える評価を受け、ロッテン・トマト81%。

総評・おすすめ度

おすすめ度:★★★★☆(4/5)

第1作でボーンの「謎」を提示し、本作でその「感情」を掘り下げた。マリーの死という喪失を起点に、ボーンがはじめて怒りと悲しみを行動の原動力にする。「最強の暗殺者の最も人間的な瞬間」を描いた点で、シリーズの中で特別な位置を占める作品だ。

名言の検証について:コトバミンに掲載している名言は、IMDb・Wikiquote・Rankerなど複数の海外データベースで原文を検証済みです。コトバミンでも以前から取り上げてきた名言については、今回改めて原文を照合・確認しています。検証プロセスの詳細はこちらをご覧ください。