映画基本情報

タイトル:サブウェイ(Subway)
公開年:1985年
監督:リュック・ベッソン
出演:クリストファー・ランバート、イザベル・アジャーニ、ジャン・レノ
音楽:エリック・セラ
上映時間:104分

あらすじ

タキシード姿で金持ちの屋敷の金庫を破ったフレッド(クリストファー・ランバート)は、盗んだ書類を抱えてパリのメトロに逃げ込む。地下鉄の迷宮に潜む奇妙な住人たちと交わりながら、屋敷の妻エレナ(イザベル・アジャーニ)との恋が芽生えていく。

若きジャン・レノが無口なドラマーとして登場するなど、リュック・ベッソンのスタイリッシュな映像美が堪能できるカルト的名作だ。

登場人物紹介

フレッド(クリストファー・ランベート):タキシード姿で地下鉄に逃げ込んだ謎の男。金庫破りの達人で、盗んだ書類を持ちながら地下に居座りコミュニティを作り上げる。クリストファー・ランベールは英語版では自分でアフレコも担当した。


エレーナ(イザベル・アジャーニ):フレッドが書類を盗んだ金持ちの妻。彼を追いながらも彼に惹かれていく。

イザベル・アジャーニの80年代の美しさは本作でも際立つ。
ル・ローラー(ジャン=ユーグ・アングラード):ローラースケートで地下鉄を疾走する泥棒。フレッドの最初の仲間となる。ジャン=ユーグ・アングラードはのちに「Betty Blue」で国際的名声を得る。


ル・バトゥール(ジャン・レノ):地下住人のドラマー。無口で存在感だけで空間を支配するジャン・レノの原点。後にベッソンと「ニキータ」「レオン」など多数の作品で再共演する。

心に残る名言集

映画冒頭、三人の哲学者(?)の言葉が地下鉄の壁に刻まれている。

名言①「存在することは行動することだ——行動することは存在することだ——ドゥビドゥビドゥ」

“To be is to do.” — Socrates / “To do is to be.” — Sartre / “Do be do be do.” — Sinatra

映画の冒頭に掲げられた三つの哲学的グラフィティ。ソクラテス、サルトル、シナトラ——存在と行動の本質を真剣に問いながら、最後はシナトラがスキャットで笑いに変える。ベッソンのユーモアとアイロニーが光る一幕だ。

名言②「シンデレラだ——でもそのシンデレラはバッグにでっかいピストルを持ってる」

“Cinderella.” / “Well, your Cinderella’s got a pistol this big in her bag.” / “It’s her magic wand.”
― フレッド(クリストファー・ランバート)とドラマー

エレナについて話すフレッドとドラマーのやり取り。地下の世界に迷い込んだ謎の美女を「シンデレラ」と呼び、「魔法の杖はピストルだ」と切り返す。ベッソンらしい軽妙なユーモアが光る。

名言③「地下には、地上とは別のルールがある」

“Underground, there are different rules.”
― フレッド(クリストファー・ランバート)

地下鉄の迷宮に住む人々について語るフレッドの言葉。社会の規則や常識が通じない場所——それこそが地下鉄という異世界の本質だ。アウトサイダーたちが自由を見つける場所として地下を描いたベッソンの哲学が込められている。

名言④「俺は何かを探している。でも何を探しているかはわからない」

“I’m looking for something, but I don’t know what.”
― フレッド(クリストファー・ランバート)

フレッドの漂泊する魂を表す言葉。お金のためでも、権力のためでもない——何かを求めて地下を彷徨うこの男の姿が、1980年代の若者の孤独と自由への渇望を体現している。

名言⑤「愛とは何か知っているか?——毎朝、彼女の目を覚ましたいと思うことだ」

“Do you know what love is? It’s wanting to wake her up every morning.”
― フレッド(クリストファー・ランバート)

地下鉄の住人として生きるフレッドが、エレナへの気持ちを静かに打ち明ける場面。派手なアクションの中に突然現れる、この素朴で純粋な愛の言葉が胸に響く。

名言⑥「俺はここが好きだ。地上よりずっとシンプルだ」

“I like it here. It’s much simpler than up there.”
― フレッド(クリストファー・ランバート)

地上の複雑な社会ルールや人間関係から逃れ、地下の単純な生き方を選んだフレッドの本音。表社会の偽善や束縛から自由になった者だけが感じられる、静かな幸福感がある。

こんな人におすすめ・必見シーン

80年代フランス映画・ルック・ベッソンのスタイリッシュな映像世界に興味がある方、そしてパリの地下世界という独特の舞台を体験したい方に強くおすすめです。この映画の最大の魅力は「ストーリーよりもムード」という割り切り——

タキシード姿のクリストファー・ランベールが地下鉄に逃げ込み、ローラースケートの泥棒や哲学的な花売りなど奇妙な住人たちとコミュニティを形成する。

地下という閉鎖空間が生む独特の自由と無法地帯感が、見る者を異世界に引き込みます。

特に必見なのは冒頭の車のカーチェイスシーン——タキシード姿の男が夜のパリを疾走するオープニングはベッソンのスタイルを凝縮した名場面です。また若き日のジャン・レノが無名時代にドラマーとして登場するシーンも、後年の活躍を知る観客には特別な喜びをもたらします。

エリック・セラの電子音楽を基調にしたサウンドトラックは映画の雰囲気そのもので、今聴いても完璧に「80年代パリ」の空気を再現しています。映画冒頭にはソクラテス「存在することは行動すること」、サルトル「行動することは存在すること」、そしてシナトラ「ドゥビドゥビドゥ」という3つの哲学的引用が登場し、映画の「意図的な無意味さ」を宣言しています。

作品データ・制作秘話

1985年公開のフランス映画。ルック・ベッソン監督の長編第2作。「シネマ・デュ・ルック(映像美重視の映画運動)」を代表する作品のひとつとして映画史に位置づけられる。

フランス国内でその年の興行第3位を記録し、約292万人が観客動員。世界興行収入は5,000万ドル。

セザール賞13部門にノミネートされ(受賞なし)、英国アカデミー賞(BAFTA)外国語映画賞にもノミネートされた。ジャン・レノにとってはベッソンとの最初期の共同作業であり、後に「ニキータ」(1990年)・「レオン」(1994年)と続く伝説のコンビの出発点となった作品でもある。

サウンドトラックはフランスで10万枚以上を売り上げた。

総評・おすすめ度

おすすめ度:★★★★☆(4/5)

「レオン」「ニキータ」の前夜、リュック・ベッソンが独自のスタイルを確立した記念碑的作品。若きジャン・レノの登場、エリック・セラの80年代シンセサイザーサウンド、そしてイザベル・アジャーニの圧倒的な美——

13のセザール賞にノミネートされたフランスのカルト映画として、映画ファン必見の一本だ。

ストーリーよりもムードを楽しむ、ジャン・レノとベッソンの原点を見届ける、そして80年代パリの地下世界に迷い込む——そういう体験を求めている方には間違いなく刺さる一本だ。

※ コトバミンに掲載している名言は、海外の複数データベースで原文を検証済みです。