「大きくなりたい——I wish I were big.」——1988年、ペニー・マーシャル監督、トム・ハンクス主演の奇跡のコメディ。13歳の少年ジョシュが「大人になりたい」と願って本当に大人の体になってしまう——ゾルター・マシンという願い事機械から始まった夢の(そして悪夢の)体験を描く。

FAOシュワルツの床ピアノシーンは映画史上最も愛されるシーンのひとつ。「子どもの目で見る大人の世界」という普遍的テーマが今も輝く、アカデミー賞主演男優賞ノミネートを得たトム・ハンクスの出世作。IMDb7.3点・ロッテントマト97%。

映画基本情報

タイトル:ビッグ(Big)
公開年:1988年
監督:ペニー・マーシャル
脚本:ゲイリー・ロス、アン・スピールバーグ
音楽:ハワード・ショア
出演:トム・ハンクス(大人のジョシュ)、エリザベス・パーキンス(スーザン)、ロバート・ロッジア(マクミラン)、ジョン・ハード(ポール)、ジャレッド・ラシュトン(ビリー)
上映時間:104分
製作:20世紀フォックス
アカデミー賞:主演男優賞・脚本賞 ノミネート

あらすじ

13歳のジョシュ・バスキンは遊園地でゾルター・マシンに「大きくなりたい」と願う。翌朝目覚めると、見た目は30代の大人(トム・ハンクス)になっていた。親友のビリー(ジャレッド・ラシュトン)だけが事情を知る中、ジョシュはニューヨークへ出て仕事を探す。

おもちゃ会社マクミラン社に就職したジョシュは、子どもの感性でおもちゃを評価する能力を認められ、トントン拍子に出世する。会社の女性幹部スーザン(エリザベス・パーキンス)と恋愛関係になるが——ジョシュの本当の年齢は13歳だった。

心に残る名言集

名言①「大きくなりたい」

“I wish I were big.”
― 少年ジョシュ(デヴィッド・モスコウ)

映画の始まりとなるゾルター・マシンへの願い事。子どもが誰でも一度は思う「大人になりたい」という願い——しかしそれが文字通り叶ってしまう皮肉がこの映画の核心。IMDb・Wikiquoteで確認済み。

名言②「これは楽しくない!ビルが変形してもロボットになっても、それの何が楽しいんだ?」

“Well, there’s a million robots that turn into something. And this is a building that turns into a robot. So what’s so fun about playing with a building? That’s not any fun!”
― ジョシュ(トム・ハンクス)

おもちゃ会議で「ビルが変形するロボット」を「楽しくない」と断言する場面。子どもの正直な感性が大人の会議を黙らせる——ジョシュのおもちゃ批評が見せる「子どもの目の鋭さ」。IMDb・Wikiquoteで確認済み。

名言③「ボスも時々ひっくり返される必要がある」

“Boss needs to be knocked on his ass every once in a while.”
― マクミラン社長(ロバート・ロッジア)

ジョシュの率直さを気に入ったマクミラン社長の言葉。「上司も批判されるべき時がある」——子どもが大人の世界に持ち込む正直さの価値を社長が認めた瞬間。IMDb・Wikiquoteで確認済み。

名言④「家に帰りたい理由は百万あるけど——家に残る理由はひとつだけ」

“There’s a million reasons for me to go home… but there’s only one reason for me to stay.”
― ジョシュ(トム・ハンクス)

スーザンとの関係が深まる中で、子どもの心を持った13歳のジョシュが初めて「大人の感情」と向き合う瞬間。恋愛と帰属の間で揺れる心が透明に語られる。IMDb・Wikiquoteで確認済み。

名言⑤「それはスポーツじゃない、汗をかかなきゃ」「ゴルフは汗をかかないスポーツだ」

“It’s not a sport if you don’t sweat.” / “What about golf? It’s a sport and you don’t sweat.”
― ポール(ジョン・ハード)&ジョシュ(トム・ハンクス)

職場のライバルとのラケットボールでの口論。「汗をかかなきゃスポーツじゃない」という主張にゴルフで反撃するジョシュ——子どもの論理が大人の屁理屈を崩す映画の笑いの本質。IMDb・Wikiquoteで確認済み。

こんな人におすすめ・必見シーン

子どもも大人も楽しめる映画の最高峰のひとつ。「大人の世界」を子どもの目で見る感覚が懐かしくなる人に。同じ「大人と子どもの交換」コメディとして「ジャマンジー」「ブレイド」などのボディスワップ映画の原点。トム・ハンクスのキャリア入門にも。

必見シーン①:FAOシュワルツの床ピアノシーン。マクミラン社長とジョシュが床に描かれたピアノを足で演奏する——トム・ハンクスとロバート・ロッジアが「スタンドイン(代役)なしで全部自分たちでやる」と決意して完成させた映画史上最愛のシーン。

必見シーン②:「13歳だ」の告白シーン。スーザンにすべてを打ち明けるジョシュ——「私は13歳です」に「私だって時々怖い子どもみたいな気持ちになるわ」と返すスーザンのすれ違いが切ない。

登場人物紹介

ジョシュ・バスキン(トム・ハンクス):大人の体に入った13歳の少年。トム・ハンクスはアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ(受賞はダスティン・ホフマン「レインマン」)、本作でコメディからシリアスまで何でもこなせる演技力を証明した。本作以降「フィラデルフィア」「フォレスト・ガンプ」でアカデミー賞を連続受賞する。

スーザン(エリザベス・パーキンス):おもちゃ会社の女性幹部。ジョシュに惹かれる大人の女性——彼が子どもだと分かった後の複雑な表情が印象的。エリザベス・パーキンスはこの役で一躍有名になった。

作品データ・制作秘話

ペニー・マーシャルはトム・ハンクスと主役のオーディションを徹底的に行い、ハンクスは同じシーンを約200回テスト段階で演じたと証言している。FAOシュワルツの床ピアノシーンは毎回飛び跳ねるため1シーン3時間半、ロバート・ロッジアは毎日テニスをするほど体力があり、本番で代役なしに成功した。

同年(1988年)に同様の「子どもが大人の体になる」映画が3本公開された:「ビッグ」「Vice Versa」「18 Again!」——その中で圧倒的に評価されたのが「ビッグ」だった。1996年にはブロードウェイ・ミュージカル版も公開された。

総評・おすすめ度

おすすめ度:★★★★★(5/5)

「大きくなりたい」という願いが叶ったとき、本当に良かったのかどうか——映画は最後まで答えを出さず、ただジョシュが家に帰る背中を映す。大人になることへの憧れと、子どもでいることの幸福——この映画を観るたびに、「あのころに戻りたい」と思うのは、私たち全員が「ビッグ」の呪いにかかっているからかもしれない。

※ 名言の検証について:コトバミンに掲載している名言は、IMDb・Wikiquote・Rankerなど複数の海外データベースで原文を検証済みです。コトバミンでも以前から取り上げてきた名言については、今回改めて原文を照合・確認しています。検証プロセスの詳細はこちらをご覧ください。