「火星へ行け——Get your ass to Mars.」——1990年、ポール・ヴァーホーヴェン監督がアーノルド・シュワルツェネッガーとともに生み出した、SF映画史上最も「頭が混乱する」傑作。「これは現実か夢か?」という問いが最後まで解決されないまま幕を閉じる——フィリップ・K・ディックの哲学的SFを、シュワちゃんのアクションと驚異の特殊効果で包んだ唯一無二の体験。

アカデミー賞特殊効果賞受賞。「コンシダー・ザット・ア・ダイボース(離婚ってことで)」から「ゲット・ユア・アス・トゥ・マーズ」まで、シュワちゃんの至高の一発ギャグが詰め込まれた娯楽大作。IMDb7.5点。

映画基本情報

タイトル:トータルリコール(Total Recall)
公開年:1990年
監督:ポール・ヴァーホーヴェン
脚本:ロナルド・シュセット、ダン・オバノン、ジョン・ポーヴィル、ゲイリー・ゴールドマン(フィリップ・K・ディック著「追憶売ります(We Can Remember It for You Wholesale)」に基づく)
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー(ダグラス・クエイド/ハウザー)、シャロン・ストーン(ロリ)、レイチェル・ティコティン(メリーナ)、ロニー・コックス(ヴィロス・コーハーゲン)
上映時間:113分
製作:カロルコ・ピクチャーズ
アカデミー賞:特殊効果賞 受賞

あらすじ

2084年。建設作業員のダグラス・クエイド(アーノルド・シュワルツェネッガー)は繰り返し見る「火星」の夢に悩まされていた。リコール社で火星旅行の「偽の記憶」を植え付けてもらおうとしたところ、何者かに命を狙われ始める。

追い詰められたクエイドは自分が本当は「ハウザー」というCIA工作員であったことを知る。火星の独裁者コーハーゲン(ロニー・コックス)の手先として動いていた過去の自分のメッセージを受け取り、火星へと向かう——しかしこれはすべてリコール社が植え付けた「夢の記憶」なのか?

心に残る名言集

名言①「火星へ行け」

“Get your ass to Mars.”
― ハウザー(アーノルド・シュワルツェネッガー)、録画メッセージ

クエイドが自分の過去の姿「ハウザー」から受け取るビデオメッセージの核心。シュワちゃんがシュワちゃんに命令するというメタ的な場面の台詞で、映画全体の出発点。IMDb・Wikiquoteで確認済み。

名言②「これで離婚ということにしよう」

“Consider that a divorce!”
― ダグラス・クエイド(アーノルド・シュワルツェネッガー)

偽の妻ロリ(シャロン・ストーン)が「夫婦でしょ」と言った直後に射殺しながら放つ一言。シュワちゃんの一発ギャグの中でも史上最高峰に位置する。IMDb・Wikiquote・Rankerで確認済み。

名言③「人間は行動で定義される——記憶じゃない」

“You are what you do. A man is defined by his actions, not his memory.”
― クアト(マーシャル・ベル)

火星の反乱軍指導者クアトがクエイドに語る哲学的な言葉。「記憶が消えても、何をするかがその人間を決める」——映画全体のテーマを凝縮した最重要台詞。IMDb・Wikiquoteで確認済み。

名言④「リヒターのパーティーで会おう!」

“See you at the party, Richter!”
― ダグラス・クエイド(アーノルド・シュワルツェネッガー)

エレベーターシャフトでリヒターの腕を引きちぎった直後に放つ台詞。物理的に不可能な「パーティー参加」への招待という究極の皮肉——シュワちゃんの真骨頂。IMDb・Wikiquote・Rankerで確認済み。

名言⑤「もし夢なら目覚める前にキスして」

“I just had a terrible thought… what if this is a dream?” / “Well, then, kiss me quick before you wake up!”
― ダグラス・クエイド(アーノルド・シュワルツェネッガー)&メリーナ(レイチェル・ティコティン)

火星の空が開いて青空が広がるラストシーンで交わされるセリフ。「これは全部夢なのかもしれない」という映画最大の問いへの答えを「じゃあキスして」で締める粋なオチ——哲学的なSFとB級アクションの絶妙な同居。IMDb・Wikiquoteで確認済み。

こんな人におすすめ・必見シーン

シュワちゃんのアクションが好きな人はもちろん、フィリップ・K・ディックの「現実とは何か」という哲学的SFが好きな人にも。同じポール・ヴァーホーヴェン監督の「ロボコップ」「スターシップ・トゥルーパーズ」もあわせてどうぞ。

必見シーン①:太った女性の変装シーン。クエイドが火星入国のために太った女性に化けるシーン——「2週間!」の台詞とともに映画史に残る爆笑場面。特殊メイクとロボット工学の結晶。

必見シーン②:自分の鼻から追跡装置を引き抜くシーン。1990年の特殊効果でここまで生々しい描写を実現した技術力に今も驚かされる。シュワちゃんの絶叫演技が光る。

登場人物紹介

ダグラス・クエイド/ハウザー(アーノルド・シュワルツェネッガー):建設作業員として生きているが、実はCIA工作員「ハウザー」として記憶を消された存在。シュワちゃんは本作でアクションと哲学的困惑という相反する演技を同時にこなした。

ロリ(シャロン・ストーン):クエイドの偽の妻。実はコーハーゲンのエージェント。シャロン・ストーンは本作の翌年「氷の微笑」で大ブレイクし、このキャリア序盤の代表作となった。

作品データ・制作秘話

製作費7000万ドル(1990年時点で映画史上最高水準)をかけた超大作。当初ハリソン・フォード主演で普通の会計士が主人公の映画として企画されていたが、シュワちゃんが主演に決まってから路線が大幅に変更された。監督のヴァーホーヴェンは「アーノルドが出るなら笑いを入れなければ」と判断し、深刻なSFにコメディの要素を加えた。

フィリップ・K・ディックの原作短編は「追憶売ります」というタイトルで、映画化でSFアクション大作に生まれ変わった。ディックは映画の完成を見ることなく1982年に亡くなった。2012年にコリン・ファレル主演でリメイクされたが、オリジナルの評価には遠く及ばなかった。

総評・おすすめ度

おすすめ度:★★★★★(5/5)

哲学的SFとB級アクションが奇跡の融合を果たした傑作。「現実とは何か」という問いを最後まで答えを出さずに映画を終わらせる大胆な構成と、シュワちゃンの一発ギャグの連発が同居する——こんな映画は二度と作られない。「考えたら負け、楽しんだら勝ち」の精神で観るべき、1990年SFアクションの頂点。

※ 名言の検証について:コトバミンに掲載している名言は、IMDb・Wikiquote・Rankerなど複数の海外データベースで原文を検証済みです。コトバミンでも以前から取り上げてきた名言については、今回改めて原文を照合・確認しています。検証プロセスの詳細はこちらをご覧ください。