「確実な死って楽しいよね——Certain death is so much fun.」——クリスマスのゾンビ黙示録×ミュージカル。スコットランドの小さな町リトル・ヘイブン。ゾンビの大群が押し寄せたクリスマスの朝、アナと友人たちは歌いながら戦い、踊りながら逃げる。「シャウン・オブ・ザ・デッド」×「ハイスクール・ミュージカル」と評された唯一無二のジャンルミックス。
2017年スコットランド製のこの小品は、ゾンビ映画でもクリスマス映画でも青春映画でもあり、その全部でもある。日本では「アナと世界の終わり」として知られる、発想と勇気に溢れた愛すべき怪作。IMDb6.1点・ロッテントマト77%。
映画基本情報
タイトル:アナと世界の終わり(Anna and the Apocalypse)
公開年:2017年(ファンタスティック・フェスト初上映)、2018年一般公開
監督:ジョン・マクファイル
脚本:アラン・マクドナルド、ライアン・マクヘンリー(マクヘンリーの短編「Zombie Musical」に基づく)
出演:エラ・ハント(アナ・シェパード)、マルコム・カミング(ジョン)、サラ・スワイア(ステフ・ノース)、クリストファー・ルヴォー(クリス・ワイズ)、マーリー・シュー(リサ)、ベン・ウィギンス(ニック)、ポール・ケイ(アーサー・サヴェッジ校長)
上映時間:93分
製作:英国(スコットランド)
音楽:ロドリ・トーマス、マイケル・タービン
あらすじ
スコットランドの小さな町リトル・ヘイブン。高校生のアナ(エラ・ハント)は卒業後オーストラリアへ旅立つことを決意し、父親と対立している。クリスマスの朝、町にゾンビの大群が出現。アナは幼馴染のジョン(マルコム・カミング)、友人のステフ、クリス、リサ、ニックとともに、両親が避難している高校を目指す。
しかし高校では、サヴェッジ校長(ポール・ケイ)が独裁者と化し、生徒たちを外に締め出そうとしていた。ゾンビを倒しながら歌い、歌いながら仲間を失い——スコットランドのクリスマスに始まった世界の終わりを、アナたちは笑いと涙で乗り越えていく。
心に残る名言集
名言①「確実な死ってすごく楽しいよね」
“Certain death is so much fun.”
― ステフ・ノース(サラ・スワイア)
夜の学校へ向かう道中、ニックが「楽しいから行こう」と言ったのに対してステフが返す皮肉たっぷりの一言。この映画のトーンを完璧に表した台詞——シリアスなはずの状況をコメディに変換するセンスが光る。IMDb・MovieMistakesで確認済み。
名言②「ジャスティン・ビーバーがゾンビになった!」
“Justin Bieber is a zombie!”
― クリス・ワイズ(クリストファー・ルヴォー)
ゾンビ感染が広がっていく状況でのクリスの叫び。アナに「あなたって子どもね」とたしなめられると、ニックが「セクシーな子どもだけど」と返す——この3人のかけあいが映画のコメディのテンポを象徴する。IMDb・MovieMistakesで確認済み。
名言③「クリスマスは私の一番嫌いな『C』で始まる言葉になりつつある」
“Christmas is fast becoming my least favorite ‘C’ word.”
― アナ・シェパード(エラ・ハント)
ゾンビ騒動の中でのアナの皮肉。クリスマス(Christmas)と汚い言葉(C word)をかけた英語ならではのジョーク。直後にジョンが「そのコスチュームを着ていたらそう言えないけど——むしろそっちのほうがひどい『C』だよ」と返すやり取りが笑いを生む。IMDb・MovieMistakesで確認済み。
名言④「ダッシャー、ダンサー、あとのやつは?」「ファイアボルト?……それハリー・ポッターの箒だ」
“On Dasher, on Dancer on… the other ones?” / “Firebolt? No… that’s Harry Potter’s broom.”
― アナ(エラ・ハント)&ジョン(マルコム・カミング)
ゾンビに追われながら逃げる緊張の中でのやり取り。サンタのトナカイの名前も知らないアナと、とっさにハリー・ポッターを思い浮かべるジョン——「もう友達でいられない、悲しすぎる」というオチが完璧。IMDb・MovieMistakesで確認済み。
名言⑤「隠れている間に俺は戦ってた」
“While you’ve been hiding, I’ve been kicking some ass.”
― ニック(ベン・ウィギンス)
劇中のミュージカルナンバー「Soldier at War」の中の台詞。ニックがゾンビと戦いながら歌う、映画の中でも特にアドレナリン全開の場面。ゾンビ×ミュージカルというジャンルの面白さが凝縮されている。TV Tropesで確認済み。
こんな人におすすめ・必見シーン
「シャウン・オブ・ザ・デッド」「ハイスクール・ミュージカル」「バッファリング・ザ・ヴァンパイア・レイヤー」が好きな人に。クリスマスのゾンビ映画を探しているすべての人にも。同じゾンビコメディとして「シャウン・オブ・ザ・デッド」もどうぞ。
必見シーン①:冒頭の「What a Time to Be Alive」シーン。アナとジョンがゾンビの大群の中を完全に気づかないまま歌って踊って通り過ぎる場面。コメディの黄金律「笑いは苦悩から生まれる」を体現した映画史に残る珍場面。
必見シーン②:クライマックスの「Hollywood Ending」ナンバー。題名どおりのハリウッド的ハッピーエンドを願いながら現実と向き合う——感動とコメディが同時に炸裂するラストシーン。
登場人物紹介
アナ・シェパード(エラ・ハント):高校生。大学ではなくオーストラリアへ旅立つことを決め、父と対立中。エラ・ハントは本作で歌唱力と演技力の両方を発揮し、英国映画シーンでの存在感を示した。
アーサー・サヴェッジ校長(ポール・ケイ):映画唯一の純粋な悪役。ゾンビ騒動に乗じて独裁者化し、生徒を外に追い出して権力を握ろうとする。コメディと恐怖の両面を持つ好敵手。
作品データ・制作秘話
本作の原案・短編「Zombie Musical」(2011年)を作ったライアン・マクヘンリーは、長編製作の前に骨肉腫で亡くなった(享年27歳)。映画はマクヘンリーへの追悼として完成された。
主要撮影はグラスゴー近郊のインヴァークライドで5週間行われた。スコットランドらしい湿った冬景色がゾンビ映画の絵として完璧にはまっている。監督のジョン・マクファイルは「バフィー・ザ・ヴァンパイア・スレイヤー」のミュージカルエピソード「Once More, with Feeling」をインスピレーション源として挙げている。
総評・おすすめ度
おすすめ度:★★★★☆(4/5)
前半の完成度が異様に高く、ゾンビ×クリスマス×ミュージカルという奇跡の三重奏が炸裂する。後半はやや感情的にシリアスになりすぎる面もあるが、それもまた青春映画としての誠実さの現れ。「確実な死って楽しいよね」——アナたちのセリフのように、この映画は最悪の状況を笑いに変える才能に溢れている。
※ 名言の検証について:コトバミンに掲載している名言は、IMDb・Wikiquote・Rankerなど複数の海外データベースで原文を検証済みです。コトバミンでも以前から取り上げてきた名言については、今回改めて原文を照合・確認しています。検証プロセスの詳細はこちらをご覧ください。