2015年、サム・メンデス監督・ダニエル・クレイグ主演。「スカイフォール」に続くクレイグ版ボンドシリーズ第4作にして、シリーズ24作目。クリストフ・ワルツ演じる宿敵ブロフェルドが登場し、ボンドのすべての痛みの「作者」として君臨する壮大なアクションスパイ映画。

ローマ、オーストリア、モロッコを舞台に繰り広げられる壮大なロケ。「死者は生きている(The dead are alive)」というキャッチコピーが示す通り、過去作すべてとの繋がりが明かされるシリーズ集大成的な一作。IMDb6.8点・全世界興行収入8億8000万ドル。

映画基本情報

タイトル:007 スペクター(Spectre)
公開年:2015年
監督:サム・メンデス
脚本:ジョン・ローガン、ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、ジェズ・バターワース
音楽:トーマス・ニューマン
出演:ダニエル・クレイグ(ジェームズ・ボンド)、クリストフ・ワルツ(フランツ・オーバーハウザー/ブロフェルド)、レア・セドゥ(マドレーヌ・スワン)、モニカ・ベルッチ(ルチア・シアッラ)、ベン・ウィショー(Q)
上映時間:148分
製作:イーオン・プロダクションズ
全世界興行収入:8億8000万ドル

あらすじ

メキシコシティの「死者の日」の祭典を舞台に、ボンド(ダニエル・クレイグ)は前のMから遺された極秘指令に従い単独行動を開始する。ローマでSPECTRE(スペクター)という犯罪組織の存在を掴んだボンドは、やがて自分のすべての過去の任務——「カジノ・ロワイヤル」「慰めの報酬」「スカイフォール」——の裏で糸を引いていたひとりの男に辿り着く。

瀕死のミスター・ホワイトから「マドレーヌ・スワン」の名を聞き出したボンドは、彼女の父・白が関わったスペクターの真相を追う。一方ロンドンでは、新しい監視システム「ナイン・アイズ」を推進するC(アンドリュー・スコット)によってMI6の存在意義が脅かされていた。

モロッコの砂漠の奥地でボンドを待ち受けていたのは、幼少期を共に過ごした男——今やErnst Stavro Blofeld(ブロフェルド)の名を名乗る宿敵だった。「すべての痛みの作者」と自称するブロフェルドとの対決が、ボンドの人生全体の答えを导く。

心に残る名言集

名言①「あなたはハリケーンの中で踊る凧だ、ボンド」

“You’re a kite dancing in a hurricane, Mr. Bond.”
― ミスター・ホワイト(イェスパー・クリステンセン)

IMDb・Wikiquote・Quotes.net・Movie Mistakes確認済み。瀕死のミスター・ホワイトがボンドに言い残す言葉。制御不能な力の中で踊り続けるボンドの宿命を詩的に言い表した台詞として、本作を象徴する名言となった。

名言②「俺だ、ジェームズ。すべての痛みの作者は俺だ」

“It was all me, James. It’s always been me. The author of all your pain.”
― ブロフェルド(クリストフ・ワルツ)

IMDb・Wikiquote確認済み。本作のクライマックスでブロフェルドがボンドに告げる台詞。クレイグ版ボンドシリーズ4作にわたる全ての悲劇の原因が一人の男だったという衝撃の事実。シリーズ全体の伏線が収束する瞬間。

名言③「殺す許可証は、殺さない許可証でもある」

“A licence to kill is also a licence not to kill.”
― M(レイフ・ファインズ)

IMDb・mi6-hq.com確認済み。Mがボンドに伝える言葉。殺すことを職業とするスパイの存在意義と人間性の本質を突く台詞。クレイグ版シリーズを通じて問い続けられた「ボンドは人間か機械か」というテーマを凝縮している。

名言④「なぜ他の選択肢があるのに、人は暗殺者の道を選ぶのか?——神父になるかどっちかだった」

“Why, given every other possible option, does a man choose the life of a paid assassin?” “Well, it was that or the priesthood.”
― マドレーヌ(レア・セドゥ)&ボンド(ダニエル・クレイグ)

IMDb・Wikiquote確認済み。マドレーヌがボンドに核心を突く問いを向ける場面。ボンドらしい皮肉の効いた切り返しが笑いと深さを同時に生む、クレイグ版ボンドの魅力が凝縮された名場面。

名言⑤「私は時間を教えるものだ——あなたの時間管理の問題に役立つかも」

“What does it do?” “It tells the time. Might help with your punctuality issues.”
― ボンド(ダニエル・クレイグ)&Q(ベン・ウィショー)

IMDb・Quotes.net確認済み。新しい腕時計を渡したQがさらりとボンドの遅刻癖を指摘する場面。ウィショーのQとクレイグのボンドの軽妙なやりとりは本作の笑いの核で、シリアスな展開の合間に挟まれる最高の息抜き。

こんな人におすすめ・必見シーン

007シリーズを「カジノ・ロワイヤル」から続けて見てきた方、ダニエル・クレイグ版ボンドの総決算を見たい方、クリストフ・ワルツの怪演が見たい方に強くおすすめ。前3作(カジノ・ロワイヤル・慰めの報酬・スカイフォール)を先に見てから鑑賞すると、伏線回収の気持ちよさが倍になる。

必見シーン①:メキシコシティのオープニング長回しショット。「死者の日」の祭りに集まる群衆を縫って、ボンドが屋根から屋根へと飛び移るワンカット長回し冒頭。映画史上最も複雑なオープニングシーンのひとつで、圧倒的なスケール感を誇る。

必見シーン②:ローマのカーチェイス。アストン・マーティンDB10 vs ジャガーCX-75によるローマの夜道でのカーチェイス。実際のローマ市街でのロケ撮影で、映画史上最高クラスのカーアクション。

必見シーン③:ブロフェルドとの対峙。砂漠の秘密基地でボンドが「すべての痛みの作者」と初めて対面する場面。クリストフ・ワルツの無表情の怖さとクレイグの緊張感が交錯する、シリーズ4作の集大成となる名場面。

登場人物紹介

ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ):「カジノ・ロワイヤル」から続くクレイグ版ボンドシリーズ第4作。より感情的で傷つきやすい人間としてのボンドを描いてきたシリーズの集大成として、本作でボンドは「愛する者を守る」という選択をする。

ブロフェルド(クリストフ・ワルツ):SPECTREの首領。ボンドにとって因縁の人物で、白猫を撫でながら微笑む姿はシリーズ最高の悪役像のひとつ。ワルツは「イングロリアス・バスターズ」でアカデミー賞を受賞した名優。

マドレーヌ・スワン(レア・セドゥ):心理士でミスター・ホワイトの娘。ボンドが初めて「愛」を選ぶきっかけとなる重要な人物。次作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」にも登場し、ボンドの運命を左右する。

作品データ・制作秘話

メキシコシティのオープニングシーンは制作当初は予定になく、監督サム・メンデスが「死者の日」の祭典を見て急遽追加することを決定した。数千人のエキストラを動員した実際の祭典と撮影を融合させた前代未聞のオープニング。

モロッコのアトラス山脈に作られた秘密基地のセットは、撮影後に地元の観光スポットとなった。ローマでのカーチェイスシーンで使われたアストン・マーティンDB10は10台製造され、そのうち1台がオークションで3億円超で落札されている。

ボンドのテーマをBillboard Hot 100で1位にした主題歌「Writing’s On The Wall」は、サム・スミスとジミー・ネイプスが作詞作曲。ジェームズ・ボンドシリーズの主題歌としては初のアカデミー賞歌曲賞受賞を果たした。

総評・おすすめ度

おすすめ度:★★★★☆(4/5)

前作「スカイフォール」の完成度と比べると賛否が分かれる一作だが、クレイグ版ボンドシリーズの伏線をすべて回収する「集大成感」は圧倒的。「カジノ・ロワイヤル」から続けて見てきたファンには特別な感慨がある。ブロフェルドというシリーズ最大の悪役の登場も見逃せない。

「ノー・タイム・トゥ・ダイ」(2021年)に繋がる重要な作品でもある。次作を見る前に必ず本作を鑑賞しておきたい。同じジェームズ・ボンドシリーズの他作品もあわせてどうぞ。

※ 名言の検証について:コトバミンに掲載している名言は、IMDb・Wikiquote・Rankerなど複数の海外データベースで原文を検証済みです。コトバミンでも以前から取り上げてきた名言については、今回改めて原文を照合・確認しています。検証プロセスの詳細はこちらをご覧ください。